BOSE 『55WER-S 』アコースティック・ウェーブガイド・スピーカーを改造
エンクロージャーをヤフオクで物色していたら、BOSEの『 55WER-S 』の箱が、なんと即決2,800円で出品されていたので、速攻で落札。送料込みでも5,600円でした。
BOSE 『55WER』は、 5.7㎝ウーファー4個に、5.7㎝ツイーター1個の【5スピーカー2Way】という変わった構成で今回の改造では、ツイーターがあった孔に『ピアレス PLS-P830985 』を取付けます。
『55WER-S』のエンクロージャーは、アルミの『押し出し成型』の一体型で、ずっしりと重く建築物の構造体に使えそうなほど、剛性感が高くガッシリとしています。
当初、この4つの孔にパッシブラジエーターを4個取付け、バスレフポートをタオルで塞いで【密閉型+パッシブラジエーター】を試したのですが、『ピアレス PLS-P830985』1発のバスレフと比べ低域の伸びが無い上、完全に密閉できないこともあり解像度も低くこのプランは早々に断念しました。
Parts-Expressで、デイトンの16Ωフルレンジを4個使ってラインアレイスピーカーも面白いと思ったのですが、ユニット8個と箱の価格を合わせると『 55WER-S』の中古価格を上回ってしまい本末転倒な気がして今回は断念しました。
結局、【フルレンジ1発のバスレフ】にして、ウーファーの孔は3DプリンターEnder 3 Proで製作したパーツで塞ぎ、BOSE 本来のアコースティック・ウェーブガイドを活かす方向で、改造することにしました。
落札した『55WER-S』はスタンドが付いて無かったので、余った端材で台を自作します。
他で製作中のスピーカーの端材(フィンランドバーチ)に、モノタロウで購入した1個15円のゴム足を取付けました。『55WER-S』の底板の中央にタップが切ってあるのでM5ボルトで固定します。
フィンランドバーチの白い木目が綺麗なので、そのまま使おうと思いましたが、銀と黒のボディにはさすがに合わないので、黒のカーボンシートを貼りました。
特定の楽器(特にピアノ)で音量を上げると、天板から“ビビり”音が聞こえるのでモノタロウで購入した防振音シートをカットして、天板に貼って対処。見事に付帯音が消え解像度も増しました。
ウーファーの4つの孔は、3DプリンターEnder 3 Proで製作したスリット状のプレートで塞ぎます。このプレートには、箱の付帯音を減らすため、天板に貼ったものと同じ防振音シートをカットして裏面に貼ってあります。これにより中高音がクリアになり、特にボーカルが鮮明になりました。
ユニットは直接取り付けられないので、3DプリンターEnder 3 Proでアダプター(サブバッフル)を製作しました。内部配線は、安定のベルデン8470に金メッキのファストン端子です。
凹んでいるバッフル面にユニットを取り付けると、出っ張った側板で回析の影響が出ますが、サブバッフルでユニットを前出すことによって、点音源に近づきます。
再生中に、バスレフポートに耳を近づけると、結構高い音域の音が漏れて聴こえるので、ユニットの背面側に、高域の吸音材としてニードルフェルトを貼り付けました。
NFJで購入したターミナル端子は、無加工で収まりました。
スピーカーケーブルは、ベルデン8477にバナナプラグは、純銅ロジウムメッキです。
シルバーのフィラメントは初めて使いましたが、光の加減によっては、金属のように見えます。
ミニマムでモダン。メカニカルな外観のスピーカーになりました。
スピーカー測定は、『20㎐~40K㎐(-10㏈)』のピーブ音を2つの設置場所と距離で再生して測定しました。
まず、スピーカーとマイクの距離を『50㎝』。
スピーカーは、壁から離して(背後の窓から60㎝以上、左右の壁から1.5m以上)測定しました。
結果が、こちらです。スピーカーとマイクの距離が『50㎝』と近く部屋の影響を受けていないので、フラットです。しかも、6.4㎝フルレンジ一発で、何と40㎐以下の超低域が、-10㏈のピープ音に対して-14㏈の音圧で、再生できています。
続いて、スピーカーとマイクの距離を『2m』。
スピーカーは、通常の鑑賞位置の壁のコーナー近く(背後の窓から35㎝、壁から25 ㎝)で、測定しました。
結果が、こちらです。壁に近づけたことで、低域の量感が一気に増えました。低域のピークは、壁から離した位置の90㎐から、70㎐まで下がりました。
二つのチャートを比較してみると、スピーカーを部屋のコーナーに近づけると大幅に低域が、増加しているのが分かります。低域の増加に対して、高域が減衰しているので、今後の改良点としてはスーパーツイーターを追加すると、もっとバランスが良くなるかもしれません。
今回の『55WER-S』は、ネットで調べると一般のユーザーの評価は低くで酷評されていますがオーディオ雑誌では逆に評価が高く長らくカテゴリー別のランキングでトップでした。
これだけ、一般ユーザーとオーディオ雑誌とで評価が異なるのは試聴環境の違いからくるものと考えられます。
このタイプのスピーカーの能力を発揮するには、ある程度の広い部屋(15畳以上)でスピーカーの間隔を広く取り(2m以上) 、試聴距離も2m以上離れて聴く必要があります。
この条件で、このスピーカーを聴くと化けます。目の前にステージが広がり、本当にコンサートホールで聴いているかのような空間に包まれます。
この“目の前にステージが広がる”サウンドは、ニアフィールド一筋の私のオーディオ人生で初めての経験でした。相性が良いソースは、クラシック音楽、ジャズのライブ録音、アコースティック楽器全般。特にクラシックギターが素晴らしくてプレイリストにクラシックギターの曲が増えました。
このスピーカーの再生音は、こちらの動画でご視聴ください。